匠の技で「光」と「音」の世界に貢献
現代の歯科治療は放射線検査で顎骨と歯の状態を確かめることから始まります。 その放射線装置のイメージセンサに使われる金属加工品を手がけているのが株式会社小沢精密工業(静岡県浜松市)です。 この部品をはじめとする光学・医療機器とトランペット、サクソフォンなどの管楽器部品の設計・製作が同社の二本柱。 つまり、製品を通して「光」と「音」の世界に貢献しています。 医療者と演奏家、いずれもプロフェッショナルの使用に耐える高精度・高品質の製品を、同社の高い金属加工技術が陰で支えています。

工場内で活躍するマザック製立形マシニングセンタ【左】
VARIAXIS i-600による高精度加工【中】
小澤社長(後列右から2人目)と小澤専務(同3人目)と社員の皆さん【右】
同社のルーツは1964年に小澤社長の祖父が設立した有限会社小沢鉄工所です。
有名楽器メーカーに勤務していた祖父はその経験を活かし、楽器関連部品の金属加工からスタートしました。
1982年に小澤社長の実父が小沢精密工業として独立。同社は楽器関連部品だけではなく、光学機器や医療機器、半導体レーザなどに使われる
金属・樹脂部品の設計、製作に携わるようになりました。現在、主に「光」に関わる事業を本社工場が、「音」に関わる事業を飛龍工場が担当しています。
同社の売上のうち、光学機器部品が約7割、管楽器部品が約3割を占めています。
光学機器については、医療機器部品の割合が高く、近年の半導体需要の増大に伴い半導体検査装置部品の依頼も増えています。
先代のころより、「全員がプログラマー」、「全員が技術者」をモットーに、オペレータ全員に対して加工プログラムの教育を施している同社。
顧客の要望に合わせて試作品から量産品まで迅速な見積もりと高い技術力で即納できるのが大きな強みです。
積極的な設備投資で「働き方改革」を実行
小澤社長はもともと市内にある世界的な光学機器メーカーに勤務していましたが、二代目社長であった実父の急死に伴い2013年、三代目社長に就任。
「『和をもって貴しとなす』を理念に掲げ、良い会社作りに努めています。『良い会社』とは、互いを尊重しつつ、自由な意見が言い合える社風を持ち、
また会社の業績向上が従業員にも還元される会社だと考えています。その一環として毎年、生産設備に惜しみない投資をしています」。
小澤社長は自らに課した「働き方改革」の取り組みを振り返ります。
その具体策として、就任早々に工場内の空調改善に乗り出し、ミストコレクタなどの整備を推進。健康で働きやすい労働環境を整えました。
2017年にはマザック製自動化対応MPP(マルチ・パレット・プール)付きの5軸加工機VARIAXIS i-600を導入。
「設備機の稼働率が高いところが気にいりました。無人化システムなので前夜にセットしておけば翌朝には全量仕上がっています。
多品種少量生産に対応しているところも魅力ですね」(小澤社長)と手応えを語ります。
夜間の無人稼働で飛躍的な生産効率アップと同時に長時間労働の改善と労働生産性の向上を実現しました。
将来のビジョンを語る小澤社長
小澤専務もマザトロールCNC装置の操作性を高く評価
生産性向上・物流効率化でさらなる事業拡大を目指す
工場内にはVERTICAL CENTER NEXUS 410A-Ⅱをはじめ立形マシニングセンタを中心に計8台のマザック機が稼働。
「新人でもすぐに使えるマザトロールの対話式プログラムの操作性の良さに驚いた」(小澤英晃専務)、
「サポート体制が充実している」(西田剛飛龍工場長)、「生産性が倍増した」(田中洋介光学部品製造部担当)など、
首脳陣はマザック機が同社にもたらした製造現場の成果を口にします。
小澤社長は今後も生産性向上のための設備投資は継続する意向。
「自動化システムの活用により、従業員は昼間にプログラム作成などの知的作業を行い、夜間は機械が無人加工する。
これにより2勤、3勤をなくして、今後の人材の確保につなげたい」(小澤社長)。
また「会社間の物流を見直し、2020年をめどに拠点を集約して、さらに会社をジャンプアップさせたい」(同)と抱負を語ります。
自動化による生産性向上と拠点集約による物流効率化で事業を拡大し、今後も同社は「光」と「音」の世界に貢献してゆくでしょう。
自動化システムの導入でリードタイムも短縮
2021年4月掲載
サイバーワールド54号より引用
株式会社 小沢精密工業
代表取締役 : 小澤 大祐
所在地 : 静岡県浜松市浜北区平口657-1
従業員数 : 77名
www.ozawa-seimitsu.jp